そう言われても…。
どう呼べばいいのだろう?

「…えっと。じゃあ…、なんて呼べば…(いいのでしょう)?」
最後まで聞く前に、
「やまと」
そう言われた。

「えっ…?」
聞き返すと、
「…だから。俺の名前。
ちゃんと読んでみて、呼び捨てで」
「……………」
「………早く」
そう急かされて、

「…やまと」
そう小声で呼んでみた。
もちろん、それでOKしてくれるはずがなく、
「んー。聞こえない」
と言われてしまう。

だから、少しの勇気を出して、
「やまと、…大和!」
と呼んだら、
「ん。これからは、そう呼べよ」
そう言って抱きしめられた。

それから、そっと顎を持ち上げられて、私は瞳を閉じた。
優しく唇が重ねられる。

どれくらい、そうしていただろう?

1度離れた唇は、
「智美、好きだよ」と、甘い言葉を囁いて、
「ちょっと大人のキスをするからね」と言ったあと、さっきよりも深く、唇が重なった。

そして、開いた口の隙間から彼の舌が入りこむと、私のそれを絡めとる。

初めてのことに逃げようとすると、大和の手が私の後頭部を押さえて逃げられない。