納得したのか、しないのか…エリカちゃんは当番表を覗き込んだ。
他の1年生も、彼女を真似して覗き込む。

「なんで私、高橋くんと一緒なの?」
ポツリとエリカちゃんが呟く。

「俺が決めたんだけど」
森野キャプテンが答えると、
「俺が近野のグループに入るって言ったんだ。
先輩2人はしっかりしてるから大丈夫だけど、近野じゃ、ほかの1年生に指示することが出来ないと思うから。
…なにか、問題あるのか?」
高橋くんが、そう問いかけた。

「…ううん、いい。
大丈夫、です」
エリカちゃんはそう答えると、
「…もう帰っていいんですよね?
お先に失礼します」
挨拶をして体育館を出て行った。

「さぁ、みんなも帰るぞ。これは部室に貼るから、そっちで見てくれ」
キャプテンの言葉に、ぞろぞろと体育館を出て行く。

くるみとキャプテンが並んで歩く後ろを、私は高橋くんと並んで歩く。

「ごめんね。
高橋くん、レギュラーになれるかも知れないのに、マネージャーのお手伝いさせて… 」
「全然、大丈夫ですよ。
逆に、もっと早く手伝いを申し込めば良かった。
あんなに重いジャグ、良く運んでましたね」
「あぁ。慣れれば平気だけどね」
「でも、ダメですよ。
俺、年下だけど男なんですから、いつでも頼ってくださいね」
「…ありがとう」

高橋くんと話しながら、彼の男らしさと優しさが見えた。
ただ、その笑った顔は、かわいい年下の男子。

この時の私は、まだ分からなかった。
彼には、裏の顔があったことを…