私は立ち上がると、椋平の隣に座る。
邪魔にならないよう、そっと肩にもたれかかる。


椋平は、なにも言わない。
いやじゃない、そう判断した私はそっと目を閉じた。




口数の少ない椋平。
私の推理力がどんどん鍛えられそう。




静かな室内に椋平がページをめくる紙の擦れる音が響く。
なんだか、そんな時間が幸せに感じた。



少しだけ顔をあげ椋平の顔を見上げると、椋平の視線が私に向いた。




「ん?」

「ふふっ」




優しく目が細められた。
それだけで胸がキュンと鳴る。
私は照れくささに笑ってごまかし、再び目を閉じた。



椋平も、なにも言わず再び紙がめくれる音が聞こえる。



うとうとと、その心地よさに私の意識は沈み込んでいった。