「主人公の気持ちの変化がすごくわかりやすくて、感情移入してしまいました」
「ですよね!切なくて、もどかしくて・・・。主人公が、彼女を想って別れを選ぶところとか泣けて・・・」
そう言って彼を見ると、彼はとても穏やかな表情で私を見ていた。
ドキッとしながら首をかしげる。
「ああ、すみません。とてもいい顔をしているなぁと思って。幸せそうに話してたから」
「あ・・・、はは、すみません。つい・・・」
「いえ・・・。あの、なにかおすすめはありますか?他にも読んでみようと思って」
「あ、・・・ジャンルを問わないなら、推理ものとかどうですか?“四季シリーズ”とかおすすめです。とりあえず、春から順に・・・」
「ありがとう、読んでみます」
私は、笑って頷いた。
「俺の名前は、夏目椋平って言います。YSカンパニーで働いてる、27歳」
「え、あ、あの、三波未侑です。このカフェで働いてます、25歳です」
そこで、初めて私たちはお互いの名前を知った。


