「・・・はぁ」
「ちょっと、やめてよ。いつまで余韻に浸ってるわけ」
両手に顎を乗せうっとりとしている私をじとーっとした視線で見つめるのは高校来の親友の汐見友花(しおみともか)だ。
月曜の仕事終わりに、友花と飲みに来たのだ。
友花は会社員で営業をしている。
バリバリのキャリアウーマンだ。
こうしてたまに飲みに行っては互いの近況報告なんかをしている。
「たかだか一回したくらいで」
「たかだか!?すれ違ってた2人が、お互いの気持ちを確かめ合い結ばれる、それはそれは熱い・・・」
「はいはい。よかったですねー」
これだけ私が熱く熱弁しているというのに、友花ったら冷めちゃって。
私が幸せだからって、妬まないでほしいわよ。
私だって、私がいなくて友花がいた時黙って友花の話聞いて祝福してたってのに。
なんて、友花はあまり自分の事を話さないから軽くしか知らないんだけど。
秘密主義なんだ、友花は。
「まぁでも、うまくいってよかったよ」
「うん・・・。椋平が私の事好きってわかってよかった」
「あんた、夏目の気持ち疑ってたわけ?」
友花が眉を顰め私に詰め寄る。
え、なんで怒ってる?


