「あのなあ!好きでもねぇ奴とキスなんかしねぇよ」
椋平を見上げると椋平は顔をそむけていて、でもその耳は真っ赤に染まっていた。
椋平が、照れてる?
いつも冷静で、落ち着いてる椋平が・・・。
「だって、今までしてくれなかった」
「・・・っ。キスだけで、すませる自信がなかったんだよ」
ボソッと恥ずかしそうに吐き捨てた言葉。
その言葉に、今度は私が照れた。
な、なんか、なんか、椋平可愛い。
思ってた以上に、私愛されてるのかな?
そう思っていいのかな?
「私、椋平にならいい!私も・・・、椋平とそうなりたいって思ってるから」
「・・・っ、バカ。とまんねぇぞ」
「・・・、い、いいよ」
顔を真っ赤にさせそう言うと、椋平は眉を寄せ私の腕を掴んだ。
強引に引っ張って歩き出すとそのまま駅に向かった。
そして無言のまま電車に揺られたどり着いたのは椋平のアパート。


