ちらっと椋平の視線が私に向く。
でも、すぐに視線は携帯に戻った。
・・・これでもダメなの?
ええい。
一瞬ギュッと拳を握るとその手をそっと椋平が膝に置いていた手に重ねた。
「・・・なに?」
「えっ?」
問われるとどうしたらいいのかわからなくて戸惑う。
どうしても、無理なの?
キスしたいって、思わない?
そんなに私、魅力ない?
「・・・っ」
無性に悲しくなって手を放した。
怪訝そうな椋平の瞳が私を刺す。
やっぱり、椋平にとって私なんて・・・。
キスしたいとか、それ以上したいとかそんな気にすらならない程度なんだ。


