「未侑、これで最後?」

「あ、うん。それは、持っていくやつだから、車に」

「わかった」





今日は、私の棲んでいたアパートの引き払いの日。
家具とかはほとんど椋平の家に揃ってるから、必要ないものは売り払って、少しずつ片づけて行った。


休みの合わない私と椋平だけど、椋平が休みの土日に、椋平が一人で片付けに行ってくれたり、私も土曜に休みを移してもらったりしながら進めて行った。


私一人でやろうとしたけど、椋平は絶対に一人ではするなって言い張るから、私が休みの日は、椋平の家の方の片づけに徹した。



あの事件以来、椋平は少し過保護だ。
毎日、今日は何か変わったことはないか知りたがるし。


前のアパートにあまり近づけさせたがらない。
片づけに行くときには絶対に一緒についてきてくれるし。



なんだか、別人みたいな椋平に、少しこそばゆくなる。





「とりあえず、片付いたな。じゃあ、俺大家さんに鍵返しに行って・・・」

「あ、うん。ありがとう。じゃあ、私、これ車に運んでおくね」




今日は最後の日だから、レンタカーを借りて、一気に荷物を運ぶ。
通勤もお互いに電車だし、必要ないと思ってたけど。
車って、やっぱいいな。
そんなことを思いながら、最後の荷物を抱え上げた。