「ごめんね」
私はそう言って電話を切った。
つい、甘えてしまう所だった。
でも、椋平まで巻き込むわけにはいかない。
カフェに、顔を出したい。
今日は土曜日だから、加奈子はいないし、綾乃ちゃんに負担がかかるはず。
しばらく休ませてほしいと、店長には置手紙をしたけど、働けるようなら働きたい。
一応、警察に連絡を入れた。
カフェ方面に見回りを送ってくれると言ってくれた。
それだけで少しホッとして、準備を整えホテルを出た。
手に汗をかく。
外を歩くのが、少し怖い。
それでも、久しぶりに聞いた椋平の声が、少しだけ私に勇気をくれた。
会いたいって言ってくれた。
それだけで。
カフェまでたどり着き、裏口に回る。
裏口の戸に手をかけたその瞬間、後ろから突然口をふさがれ引きずりこまれた。


