未侑が、仕事着を洗ったまま忘れて来たというので取りに来た。
新しいのを出すと言ったが、却下され、それなら俺が取りに行くと鍵を預かり取りに来たのだ。
女の子の一人暮らしの部屋に家主がいないのに上り込むのは少し気が引けるが、許可ももらっているしと言い聞かせ中にはいる。
言われたところに綺麗に畳まれておいてあった仕事着を一色紙袋に入れた。
未侑らしい可愛らしい部屋だ。
ストーカーと鉢合わせたら捕まえてやろうと思っていたけど、そんな事にはならなかったな。と靴を履き玄関を開く。
「・・・あ」
玄関を開けた先に、目を見開いた見覚えのある男が立っていた。
えと、確か・・・、じゃなくて、未侑の彼氏だ。
毎日カフェに通ってきているから嫌でも覚えているこの顔。
言葉を交わしたことなんて業務関係しかない。
まずったな。
「どうも」
無視するのもおかしく思えてそう頭を下げると外に出て、鍵を閉める。
「未侑はいないよ」
そう告げると、怪訝そうに眉を顰めた。
まぁ、そうだろうね。


