「犯人の、思う壺・・・。私が傷つくのはいいの。でも・・・、私が踊らされることで、椋平を傷付けてしまったら。そんな風に、巻き込みたくないんです・・・」
「未侑・・・」
「それに・・・、あのカッター・・・。きっと、本気で、私と椋平を引き放そうとしてるってわかったから・・・。思い通りになってしまうのは悔しいけど、・・・それで、椋平に矛先が向かないなら・・・」
つくづく、バカだ。
自分が怖い目にあってんのに、それでもあいつを護ろうとすんのか?
今まで怖い思いをしてきて、傷ついてきたのは、彼氏じゃなくて未侑の方だろ。
「ほんと、バカだな」
「・・・っ」
ポンポンと頭を叩くと、未侑は顔を俯かせタオルに顔をうずめた。
お前がそう決めたなら。
俺は、俺の精一杯で未侑を護る。
店長としても。
一人の男としても。
未侑の事が大切だからな。


