「ありがとうございます」
「・・・いいえ」
椅子を引いてやると、素直にそこに座る。
笑顔のない未侑は、未侑らしくない。
でも、笑えなんて無理だろうなぁ。
「手、痛いかと思って、スプーンで食べれるオムライスにしたぞ」
「・・・・え・・・・」
俺の言葉に、顔をあげた未侑がひどく悲しげで驚いた。
どうした?
思っているうちに、ポロポロと大粒の涙を零し始めた未侑に戸惑う。
「な、ど、どうした?」
「ご、ごめんなさい・・・、思い出してっ・・・」
「思いだした?」
慌ててタオルを持ってきて未侑に渡すとそのタオルに顔をうずめながら未侑が言った。
思い出してって、なにかそう言うことがあったのか?


