「なんか、新婚みたいだな」

「えっ!?」

「・・・冗談だよ。そんな嫌がんなよ」

「い、嫌がっては・・・」



唐突すぎてびっくりしたんだってば。
きっと店長は、私の気持ちを軽くしてくれようとしてるんだよね。

トーストをかじると、サクッといい音がする。
美味しい。




「今日、休むか?」

「いえ。大丈夫です」



じっと家にいる方が、いろいろ考えてしまってダメな気がする。
身体を動かしていれば、きっとその間は考えなくてすむから。
店長も、そんな私の気持ちに気づいたのか、それ以上はなにも言わなかった。




「これ、合鍵。渡しとくわ」

「・・・ありがとうございます」




昨日は気が動転していたし、他に頼るとこも思いつかなくて、甘えてしまったけど。
本当に、このまま甘えてもいいんだろうか。



「あの、店長・・・」

「余計なこと考えなくていい。本当に嫌なら、俺が友だちのところにでも泊まらせてもらうし。気にせずここにいたらいいよ」