こんな状況に、俺の心は騒いだ。
最低だ。
さっきの状況を見ないふりをしたうえ、他の女が押しかけてきてるところを見られるなんて。
大川に対しての怒りと、自分の行動への後悔の念が押し寄せる。
「あの、先輩・・・。泊めてください」
大川は、未侑が他の部屋の住人とでも思ったのか、話を続ける。
もっと、想いを表わせることができたなら。
もっと、素直になれたなら。
「だめ!」
次に聞こえてきたのは、未侑のそんな声だった。
俺と大川の間に入り込んだ未侑は、俺に背を向け大川と向かい合う。
「椋平は、私の彼氏だから!あなたなんて、泊めないの!」
そう、言い放った。
大川は、面食らったような顔をして突っ立っている。


