我儘なことくらいわかってるから、言えない。
重い女になりたくない。
これ以上、椋平の中の私への想いを減らしたくないのだ。
「・・・わかった。じゃあ、帰るね」
「ああ。じゃあな」
「仕事、頑張ってね」
「ああ」
ひらひらと手を振ってコンビニに消えていく。
一度もこちらを見てくれない椋平に小さく息を吐いて私は素直に歩き出した。
会えて嬉しい。
会えないと思っていたから。
でも、会ったら会ったでもっと一緒にいたいって思うし。
少しでも、優しくしてほしいって思う。
贅沢なのかな。
そんなことを考えながら駅につくと電車で一駅の自宅の最寄り駅についた。
駅から徒歩10分くらいの場所に私の一人暮らしの家がある。
鍵を開け中にはいると、真っ暗な部屋の電気をつけた。
鍵を玄関の棚の上に投げるように置き、鞄を部屋の隅に投げ捨てソファにバタンと倒れこむ。


