「これでよかったのか?
  もうお前には近づいて来ない
  ぞ、、あいつ等。」


  「いいんだよ。こうしないと、
  美香は悠樹達のコト傷付けるん
  でしょ?違う?」


  「美香に狙われた奴は逃げられない。
  よく葵中でも言われてたな。手段を
  選ばず、誰もが恐れる存在だったし。」


  「知ってるよ。美香に狙われた人は
  みんなボコボコにされてる。あたしは、
  悠樹達が傷つくのは嫌。絶対に。」


  「未来、あいつ等に嘘を言えば言うほど、 
  傷つくのはお前自身なんだ。こんな芝居
  はお前を余計に辛くさせただけだろ。」


  いいんだよ。あたしのことは。
  ただ、みんなには傷ついて欲しくない。
  もし、悠樹と漣が野球が出来ない怪我を
  負わされたら。友華に何かされたら。
  柊が辛い目に遭わされたら。そんなのは
  耐えられないから。

  
  美香ならそれが出来るから。
  そんなことはさせないと思ったんだ。


  「いいんだよ。あたしはみんなが
  幸せなら。あたしはみんなのお陰で
  ずっと幸せだったから。いいんだよ。」


  谷口恭介はあたしの頭をポンと
  撫でて、優しく言ってくれた。

  
  「お前は馬鹿だよ。けど、最高だ。
  美香からあいつ等を守ることも出来なく 
  て、情けないな、俺は。」


  最後の一言は、哀しそうに。


  「いいって!これはあたしが選んだ
  道なの!だから誰も謝らなくていい。
  ありがとね、恭介。ありがと。」


  「お前はいい女だ。市川より、
  もっといい男に会える、絶対。
  どうしようもなく辛くなったら、
  俺のところに来い。俺の前で泣けば
  いい。そうだろ、、馬鹿妹??」


  「馬鹿は余計だよ、お兄ちゃん。」