ソウルメイト -彼女のおまじないは悪!?-


 ドリンクバーで持ってきたオレンジジュースを見て、永愛は切なくなった。奈津が好きな飲み物だからだ。

 そんな永愛を、瑞穂は心配した。エモリエルは、あえて奈津のことには触れずこう切り出した。

「そのことなのですが、永愛さんの使ったという友達作りの成功するおまじないは、真逆の効果を発揮してしまうものだった可能性があります」
「それって、どういう…?」
「悪い者を寄せ付けるおまじないだったかもしれないということです」
「なっちゃんが悪者……」

 複雑な気持ちになり、永愛は言葉につまった。エモリエルはあえて淡々と言った。

「はい。傷心のところ配慮のない言い方をしてしまったことは謝ります。あなたには、どんなおまじないも成功させる魔力がありますから、念のためと思い伝えました」
「ううん、大丈夫だよ。知れてよかった」

 それは本心だった。

「あれからよく考えてみたんだけど、なっちゃんとは、友達らしいこと何もできてなかったと思った。メールも、電話も、遠くに遊びに行ったりとかも。それに、私はいつもなっちゃんに頼ってばかりだった」
「永愛さん……」
「おまじないが効いてなかったとしたら、私に悪いところがあったんだよ。人見知りだからって甘えてばかりで、なっちゃんに負担かけてたんだと思う。もし仮におまじないが正しく効いてたとしても、そんな私のままじゃ友情は続かなかったんじゃないかな。これでよかったんだよ」

 自分を省みることで、永愛は奈津との別れを受け入れた。まだまだ胸は痛むけど。

「でも俺は、渡辺さんばかりに非があるとは思わない。渡辺さんはそのままでいいと思う」

 瑞穂はそれきり、そのことには意見しなかった。それが彼の優しさだと、永愛は気付いた。

「ありがとう、海堂君。エモリエル君」

 彼らとはずっと友達でいられるよう、強くなりたい。永愛はこの時、心からそう思った。

「エモリエル君の任務が果たせるように、私も努力するから」
「ありがとうございます。永愛さん」

 それから昼食を食べて映画を観に行き、三人は解散した。


 その後、エモリエルと瑞穂は二人でエモリエルの自宅アパートに集まった。

「渡辺さんはああ言ってたけど、本当にいいの?」
「組織の命令ですから」
「……ソウルメイトとして、エモリエルの任務に協力したいとは思うけど……」

 エモリエルが地球に来た目的は、永愛におまじないを使わせないこと。永遠に。

 しかし、それは不可能に近いことだと、組織は考えていた。なぜなら、彼女は非常に強い依存心の持ち主だからだ。

 「おまじないは使わない」と一回口約束をしただけでは、今後の人生でおまじないを使わない保証にはならない。

 永愛には、死ぬまでおまじないに頼らせない必要がある。

 それをどう解決するか。エモリエルが考えた作戦は、「永愛に恋愛をさせること」である。それも、一時的な恋ではなく、生涯かけて大切にしたいと思わせるような恋愛を、だ。