ソウルメイト -彼女のおまじないは悪!?-



 翌日、永愛が登校すると、やけに視線を感じた。校門から昇降口まで歩いていると、クラスメイトだけでなく他のクラスの人達からもじろじろ見られる。

(今日はやけに見られてるような……?)

 今までもおとなしいせいで視線を集めることはあったが、こんなに敵意を感じるのは初めてだった。たまたま目を合わせてしまった他のクラスの女子にギロリとにらまれて、勘違いではないと分かる。

(私、何かした?)

 視線の理由は、教室に行って初めて分かった。

「なっちゃん…?」

 教室前の廊下で仲良く会話する奈津と宗の姿があった。永愛は思わず後ずさり、顔を引きつらせてしまう。

(秋良君、なっちゃんと何話してるんだろ?もしかして昨日のことをなっちゃんに?)

 そう思うと気が遠くなりそうだった。

 エモリエルや瑞穂のおかげで悩みすぎずにすんだものの、宗に会ったらどう接しようか、永愛なりにすごく考えていた。

 だが、永愛の気持ちなどかまわないといった感じの明るい声で、宗はいつも通り挨拶をしてくる。

「おはよう、永愛ちゃん」
「秋良君、なっちゃん、おはよう……」

 ためらいつつ、永愛は奈津にも声をかけたが、奈津はそれを無視して宗に言った。

「私はもうこの子と話したくないから、秋良君から言ってくれる?」
「分かったよ、奈津ちゃん」

 奈津ちゃん。奈津を呼ぶ宗の声に、永愛の胸はズキンと痛んだ。昨日までは瀬川さんと名字で呼んでいたはずなのに、いつの間に二人はこんなに仲良くなったのだろう?

「永愛ちゃん。悪いんだけど、僕と付き合うって話は忘れてくれる?」
「え…?」

 何を言われているのか分からず、永愛の全身は凍りつきそうになった。

「僕、奈津ちゃんのことを好きになったんだ。だからもう、永愛ちゃんとは付き合えない」
「なっちゃん、それ本当なの?」

 尋ねる声が震える。青ざめる永愛に近づいた奈津は、周囲に聞こえないよう小声で言った。

「だって永愛、秋良君のこと全然大事にしてないじゃん。黙ってたけど、私は秋良君のことずっと好きだった。永愛と秋良君が別れてよかったと思ってる」
「そんな……。友達なら言ってほしかったよ」
「バカじゃない?友達だなんて、一度も思ったことないから」

 冷たく言われた衝撃で、永愛はその場にしゃがみ込んでしまった。ショックで全身の力が抜けてしまう。

(ウソ……)

 今起きたことを、現実のものとして処理することができない。受け入れたくなかった。

 しゃがみ込んだまま放心する永愛を見向きもせず、奈津と宗は楽しげに話し続けている。まるで、仲の良さを永愛に見せつけるように。