ソウルメイト -彼女のおまじないは悪!?-



「どうして僕がこんな目に……」

 永愛達が帰った後、一人渡り廊下に残された宗は、どうしようもない苛立ちを覚えていた。

 今まで努力して聖人君子を演じてきたのに、ここへきて瑞穂や永愛に本性を知られてしまった。しかも、転校してきたばかりのエモリエルにまで。

(僕の学校生活は終わった……)

 絶望に打ちひしがれていると、背後から女子生徒に声をかけられた。

「秋良君、今日は部活休み?」
「……瀬川さん!」

 瀬川奈津。永愛と付き合うキッカケになった女子生徒。

「永愛ちゃんと帰ろうとしたんだけど、断られて。瀬川さんは何してるの?部活は入ってなかったよね」
「秋良君のこと、待ってたの」
「え…?」

 奈津は、甘えた顔で宗の腕に両手を絡めた。

「永愛にはずっと言えなかったんだけど、私、ずっと秋良君のことが好きだったんだよ」
「瀬川さん……」

 奈津は、先輩にも人気があって可愛いと評判の女子だ。こんな女子に告白されるなんて、男として喜ばないわけにいかなかった。プライドの高い宗にはなおさら、嬉しい出来事である。

「ありがとう。でも僕は永愛ちゃんと付き合ってるから……」

 喜びを抑えつつ、優等生面でそう言う宗に、奈津はイタズラな笑みを見せる。

「別れちゃえばいいじゃん。どうせ本気じゃなかったんでしょ?」
「……!どうして……?」
「そんなビックリした顔しなくても。見てたら分かるよぉ。永愛は地味で暗いもん。それに、男子はああいう子より可愛い女子の方が好きでしょ?」
「でも、もし僕が瀬川さんと付き合ったら、君達の友情が……」

 宗は紳士ぶってそんな配慮を見せたが、彼の本音を見抜いていた奈津にその言葉は効かなかった。

「秋良君も人がいいよね。私、永愛のこと友達と思ったことなんてない……。普通友達の彼氏にこんなこと言わないよ」
「そうなの?ならどうして君達はいつも一緒にいるの?」
「女って色々めんどくさいの。仕切りたがりの女子とはあんまり絡みたくなかった。その点、永愛は自己主張しないしおとなしいから一緒にいやすかった。それだけ」

 それだけではない。奈津が永愛に近づいたのは自分の引き立て役になると思ってのこと。しかし、宗への印象を悪くしないよう、それは言わずにおいた。

「でも、最近の永愛はおかしい。秋良君がいるのに他の男子と仲良くしたり。私もやめるよう言ったんだけど、全然聞いてくれなかった。だったら私が秋良君を幸せにしたいと思ったんだ」
「瀬川さん……。どうしてそこまで僕のことを?」
「なんかね、秋良君って私と同じニオイがするんだ」
「偶然だね。僕もそう思ってた」