「天野ってば登校のときも学校の中でもいーっつもみーなにべったりなの。天野はあんなに好き好き態度で周り牽制して、みーなは天野のこといつも目で追って、気持ちなんて分かりきってるくせに2人っとも何もないし」



いい加減見てるこっちの方が疲れるよ〜、とうざったそうに言うものの、その表情は友達のことを思う顔だ。


そんな初めて見る妹の表情を見て微笑ましくなる。こんなことしてくれた子にお礼もしないっていうのはないよな。



「いいよ。協力する」


「ほんと!?」



うん、と答えた俺に由衣は「ありがとっ!」と満面の笑みで答えた。


ご機嫌のまま部屋に向かう由衣は途中思い出したようにこちらを振り返ってニッコリと笑った。



「そうだ!忘れてたけど、合コンのときみーなに何かあったら過去撮った兄貴の恥ずかしい写真をネット中にばらまいてあげるから」


「な……」


「せいぜい体を張ってみーなのことを女に飢えた猛獣たちから守ってね!おにーちゃんっ」



サラリと爆弾を落として姿を消した由衣にしばらく呆然としていた。


これは……もしかして俺は危ないことになっているのでは?と考えが浮かんだのがしばらくのこと。


まぁでも、



(由衣の頼みだしな……)



こんなところが甘いのだと自覚はあるけど仕方ない。せいぜい王子さまが来るまでの騎士に徹してやるかと苦笑混じりに合コンへの企画を練った。


その後、無事にあの2人がくっついたと知らせを受けたとき、秘かに息を吐いたのを知っているのは俺だけだと思う。






Fin.