は?何それおいしいの?




姉ちゃんのあとを追うように家を出る桃にぃの後ろ姿に手を振りながら見送るけど、途中何かを思い出したかのように桃にぃが振り返った。


何か忘れものでもしたか?


首を傾げる俺に桃にぃはそれはそれは楽しげな笑顔を向けた。と言っても俺には肉食獣が獲物をなぶる前のそれに見えたけど。



「今日は俺とハナ、夜ごはんはいらないっておばさんに伝えといて」


「え」



それってつまりー……そういうこと?



「当たり前でしょ。どんだけ俺が待ったと思ってるの。これ以上待てる程、俺も人間できてないよ」


「……わー、桃にぃでもそんなこと言うんだ」


「言うよ。長い間目の前にしてきたご馳走を横から掠め取られるとか我慢ならないし」



じゃあよろしく、と言い捨てて桃にぃは走り出してしまった。


やっぱ桃にぃかっけーわ。



いつぞやの話、桃にぃに男としてそういうことに興味ないのかって聞いたことがある。


何がきっかけでそういう話になったんだっけ。あー、あれだ。桃にぃにエロ本見せても反応なかったときだ。