は?何それおいしいの?





「な、んで…なんで、こんなことするの……?」



ひっく、と喉の奥からひきつった声が漏れた。それが契機となったのか堰を切ったかのようにポロポロと涙がこぼれる。


苦しい。桃の気持ちが見えないのが苦しくて堪らない。



「も、もは、ひっく……あたし、なんて…、ぐすっ…きょ、み…ないんで、しょっ……?」



ふぇ、と泣きながら吐露した言葉に桃はどんな顔をしたのか。自分のことで手一杯なあたしはそこまで気が回らなかった。



桃は『恋愛』や『異性』に興味を持たない。


興味を持っているのも関心を持っているのも『食べ物』や『おいしいもの』だけ。


つまり、桃は人を好きにならない。


いつもそばにいたからこそ分かること。だって桃は小学校でも中学校でも…今だって、どんなにかわいい子や美人な子が告白してきても首を縦に振らずに断ってきた。



「、ならっ…、っく…こんなこと、しないでよぉ……っ」



ずっとずっと、桃は恋愛に興味なんて持たないって分かってたから、自分にもそう言い聞かせてきた。


心の中にある感情を1つ残らず掻き集め、小さな箱の中に押し込めて蓋をして、鍵を掛けただけじゃ飽き足らず、あまつさえ南京錠まで持ち出して僅かな隙間でさえもガムテープで密閉しておいたのに。


どれだけ頑丈に幾重にも厳重に気持ちに封印をかけても、桃は簡単にそれをダメにする。せっかく頑張って気持ちを隠しても、桃がそれを暴いてしまう。



「っ、期待、なんて…させないで……!!」