は?何それおいしいの?




疑問を浮かべた顔をして見ていると、桃はため息をこぼしてグッとあたしとの距離を詰めた。


ギシリと新たに音をたてたベッド、体の上に微かにかかった重み、素足の肌に絡んだ布の温度、すぐ近くに香る爽やかな匂い、繋がれたままの指に感じるぬくもりと力、その全てが今の状況を如実に伝える。



「これだけしても、ハナは分からないの?」


「ぁ、え……?」



な、にこの状況。あれ、あたし今桃に押し倒されてる?


なんで?どうしてこんなこと……



「ハナは俺が『男』だってちゃんと理解した方がいいよ」



この状況についていけないのはあたしだけらしい。桃はいつもと同じに事実だけをそのまま伝えている。


そんな冷静すぎる桃になんだかちょっと慌ててパニックになっていた自分の方がバカらしくなってしまった。



「桃に言われなくても分かってるよ。桃が女の子のわけがないでしょ」



そんなの周知の事実だ。今さら言われることでもない。


というかそんなこと言ってくるなんてあたしに失礼じゃない?いくらあたしがバカでもずっといっしょにいた幼馴染みの性別ぐらい忘れたりしないよ。



「もう、いい加減に退い、」


「やっぱり分かってない」


「はい?」



何が、とあたしが聞く前に桃はスッと目を細めた。



「ハナ、俺はもう『男の子』じゃない。歴とした『男』なんだよ。そしてハナも『女の子』じゃなくて『女』なの。その意味が分かる?」


「い、みって……」


「鈍感なハナにも分かるように教えてあげる」



こういうことだよ、と桃はあたしの首もとに顔を埋めた。