は?何それおいしいの?




うわーと思っていると笑いを止めた桃の顔が視界に入ってくる。一瞬だけ真面目な顔をし、あたしと目があった瞬間には再びその顔には笑みが浮かんでいた。


でもその表情が織り成す雰囲気はさっきとは天と地ほどの差がある。


ゆったりと広がる笑みは艶笑を含み、瞳は挑戦的な光を浮かべている。おいさっきの無邪気さどこ行った。ギャップの落差がすごいぞ。



「ハナは昔から駆け引き上手だね」


「……そんなこと初めて言われた」



というか、それならあたしじゃなくて桃の方が合っていると思う。あたしなんて駆け引きも何もない。


ただこうしようかなーと気まぐれや今回みたいな打算ばっかりで動いているだけ。自分の思惑通りにことが運んだことなんてないに等しい。



「上手だよ?特に俺に関しては」


「あー……」



それは否定しきれないところもあるような。


桃の言ってることって学校での扱いとかそういうのだよね。でもあれでしょ、そんなのあたしと桃が幼馴染みだからどうすれば桃が動いてくれるのかって経験から分かっていただけ。



「ハナの鈍感」


「待って。なんで今あたし貶されたの」



ただそれは駆け引きじゃないでしょって伝えただけなのに。理不尽だ。


むっとして桃を軽く睨みつければ「あー、もう……」と項垂れた様子の桃。意味が分からない。



「……ハナの鈍感。ここまできてなんで分からないの」


「?」



ここまでって……どこまで?


なんて考えるあたり、あたしはバカなのだろうか。それに桃の言っていることもよく分からない。