は?何それおいしいの?




もごもごと口ごもるあたしに桃はますます口をへの字にする。なんて分かりやすい表現なんだ。



「まぁ付き合うことはいいけど、」


「(いいんだ……)」


「なんで俺じゃないの」


「は?」


「ハナが付き合うなら俺じゃないとダメでしょ」


「………はっ?!」



今なんて言ったこの人。今なんて言ったこの人。(重要なことなので2回言った)


到底理解できないことを言われたような気がする。え、もしかして空耳か?もしかしなくても幻聴か?はたまたこれは夢ですか?


……そうだ、そうに違いない。だって相手は『あの』桃だ。


『食べ物』ないし『おいしいもの』にしか興味のない桃だ。


ふっ……慣れない合コンのせいで自分でも気づかないうちにいろいろ疲れていたらしい。だからこんな荒唐無稽なことが聞こえたんだ。



「言っておくけど空耳でも幻聴でも夢でもないから。これ現実ね」


「エスパー……!」


「ハナの考えてることぐらい分かるって(本当はぶつぶつ口に出してたんだけど)」



くつくつと喉の奥で笑う桃は酷く楽しげだ。


長い時間をいっしょに過ごしたせいか、あたしだけでなく桃にもあたしのことが分かるみたい。なんて面倒な。