それにしてもあたしくつのままなんですけど。ブーツはどうすればいいんだろう。
とりあえず床につけないように足を上げているとスッと視界に桃が入った。
「桃……?」
電気は付けていないけど今日は満月なのか、窓から入ってくる月明かりで部屋の中はぼんやりと照らされていた。綺麗な桃の顔も青白い優しい光に照らされて、どことなく神秘的な感じ。
それに思わず見入っていると、桃の色っぽい唇が薄く開いた。
「楽しかった?」
「………は?」
「合コン、楽しかった?」
唐突に聞かれたものだから間抜けな声が出てしまったけど、よくよく考えてみればそのことしかないだろうと自分に突っ込みを入れる。
にしても桃が食べ物のこと以外を聞くなんて。もしかして合コンに興味あるのか……それともカラオケで食べたいものでもあったんだろうか。そっちのがありそうだな。
「んー、うん。まぁそれなりに楽しかったかな」
飲み食いして話してただけだけど。
「ごはんもそこそこおいしかったしね。カラオケではなしのん兄……さっきカフェでいっしょだった人とずっと話してたんだけど、」
って忘れてたけどあたしなしのん兄に「付き合ってみない?」みたいなこと言われてたんだった。頭の中からすっぽり抜けて忘れていた。
でもあれって本気だったのか?だってなしのんのお兄さんだよ?
あんな引く手数多な人がわざわざ妹の友だちに手を出すとは考えられないんだよね。多分冗談だとは思うけど、なしのん経由で断っておこう。


