は?何それおいしいの?




そこまで考えてなんだか喉の奥に何かが詰まったような違和感を感じた。それは桃が告白を受けたときに毎回感じる複雑な想いを塊にしたような感じで。


いつもどこかで感じている感情。でもあたしにそれは分からない、いや、分かろうともしないんだ。


だって分かってしまったら、気づいてしまったら、理解して認めて受容してしまったら、きっとあたしは今まで通りにはできないだろうから。


そんな漠然とした不安を振り払うように軽く頭を振るものの、なしのん兄は箱の中に閉じ込めた不安を露見させるように答えを求めてくる。



「ね、実花ちゃんはどうする?」


「……どうもしない、と思います」



曖昧なことしか答えられないのに、なしのん兄は「そっか」とふわりと笑った。もっと追求されるかと思ったけどなしのん兄はそう言ったあと突っ込んだことは聞かなかった。


そういう大人で紳士的な態度とか甘い柔らかな笑顔が王子さまだと思う所以なんだろうな。しばらくお互い無言のままでいると、不意になしのん兄はあたしの手を取った。


なんだろうとキョトンとするあたしになしのん兄は変わらず柔らかな笑顔を浮かべている。



「じゃあ実花ちゃん、俺と付き合ってみる?」



……………は?


実際は言わなかったものの、心の中ではそんな間抜けな声を出してしまった。まぁ言わなかったとしても表情が物語っていたのだがそのときのあたしがそこまで気を回せるわけもなく。


上手く働かない思考の中でとりあえず現状整理をしてみると「あたしはなしのん兄にお付き合いを申し込まれた」という結果に。