は?何それおいしいの?




ぎゅ、と一瞬強くなる力。ドキドキした鼓動は変わらないけど、押しつけられるような背中の体温は心地よいと思った。


というかなんで今の状況でおいしいものが好きかどうかの質問になるのだろうか。


長い間桃の幼馴染みをしていても、桃の思考は分からない。まぁほとんどは『食』について考えてるっていうのは分からるんだけど。



「じゃあさ、鮮やかに色づいて、熟して、食べ頃になるまで大切に大切に守ってきたこの世で1個しかない果実が、他の誰かに横取りされたらどう思う?」


「え?」



どういうこと?と桃に聞いても、そのままの意味だよ、と微かな笑い混じりで返された。


笑う度にかかる吐息がくすぐったくて堪らない。ちょっと息止めてほしいと思うぐらい。



「んー……なんでそんな質問したのか、意味はよく分からないんだけど」



そうだなぁ……果実ってところがちょっと気が抜けるから、そこはお金とかに代えて考えるとして。


ちょこちょこと地味にこつこつ貯めてきたお金を全部…んーと、稔に使われてしまったとしたら?


しかもそれは絶対に返ってこない……あ、ダメだ。考えたら腹が立ってきた。



「ふざけるなって話だね」


「それだけ?」


「え?えーと、じゃあそれ以上のものを請求する」