「ちょっと、桃聞こえてる?」
「うん」
「じゃあ腕」
「ん、」
ベッドの軋む音といっしょに腕が退かれ、その隙に起き上がろうと手をついたけど、ふわりとかけられた重みでそれも防がれる
寄せるように腰に回った腕にドキリとした。
「ちょっ、何してるの」
「んーやっぱりいい匂いがする」
ぎゅ、と力の込められた腕とすう、と息を吸う音、項にがかる吐息に赤面する思い。うわ何これ、ものすごく恥ずかしい。
これってもしかしなくても後ろから抱きしめられてる、よね。
ピッタリと背中に感じるぬくもりがそれを証明していた。
どうしようもなく恥ずかしくて、ドキドキと否応なく心臓が鼓動を速める。
あー、こんな近くでぎゅっとされるとかいつぶりだろ。幼稚園のときはしてた、よね。でも小学校の高学年あたりにはもうそういうあからさまなのはしてなかったかも。
え、じゃあいつぶり?ザッと見積もって6、7年ぶり?下手したらそれ以上……すごいな。
なんて意味のないことを考えてみるものの、頭の中は混乱中の混乱だ。
「ハナって、おいしいものは好き?」
話すときの息がかかって、思わず肩がビクリと跳ねた。
「そ、りゃ…好き、だけど……」
「うん、俺も好き」
「(知ってるよ……)」


