柄にもないことを想像してしまった恥ずかしさから、なんとなく桃から背を向ける。
「ねぇ、ハナ」
「んー?って、ちょっ、」
ギシリ、とベッドのスプリングが僅かに軋む。部屋の明かりが桃に遮られて視界が暗くなった。
あたしは横向きに寝転んだまま、上半身を桃の腕に囲まれるように身動きを制限される。
逆光で桃の顔、あまり分からない。それでも突然のことと驚きで、あたしはポカンとしながら顔を桃に向け、見上げていた。
「桃……?」
「……いい匂いがする」
「は?」
いい、匂い?は、え、何それ。
まさにアホ面を晒してしまったわけだが、ポンッと頭に浮かんだのは今日のお風呂。
あれか?え、あれなのか?あたし、ももの香り、してるのか?
確かにシャンプーはホワイトピーチの香りだけど、いつもそんなこと言わないし、だとしたらやっぱり入浴剤か?
「えーと、とりあえずこの腕退けようか」
あたしの体を抑え込むかの如く腕を立てられていて、これでは起き上がれない。
これって巷で言うところの床ドンってやつ?あ、でも床じゃなくてベッドだからベッドドン……なんか言いにくい。


