体と髪を洗って出ると、髪からいつもより強いピーチの香りがする。ドライヤーの風でふわふわする自分の髪を見て、思わず笑ってしまった。
「お風呂出たよー」
「おー。あ、親父ー、俺先入ってもいい?」
いいぞ、とお許しを得た稔は上機嫌でお風呂場に向かった。
あたしはあたしでペットボトルをとって自分の部屋へと行く。
別に避けてるとか反抗期、とかじゃないけどお父さんといるのは気まずいんだよね。……本人に言ったら悲しみそうだから言わないけど。
自分の部屋のベッドに飛び込み、ゴロリと寝転ぶ。あー落ちつく。
そういえばリビングに桃がいなかったけど、もう帰ったのだろうか。
ちょっと確認しようと思ったとき、部屋の扉が開いてご本人さまが登場した。
「あれ、桃。どしたの?」
何か用事?と首を傾げれば「ん、」という返事と手の中にあったアイスを差し出してきた。
「おばさんから」
「おー、お母さんもたまにはいいことするね」
アイスは桃の分もあったので(というかあたしのがむしろおまけ…)、桃を部屋の中に入れていっしょにベッドに腰かけてアイスを食べた。
チョコレートの甘さとほのかな苦味が堪らない。桃は王道のバニラを食べていてそっちもおいしそう。


