なしのんに言われた通り、帰った瞬間誰にも見つからないようにクローゼットの中に今日買った一式を押し込んでおいた。
さすがに遠慮のない家族でも人の私物をクローゼットの奥までは見ないでしょ、という考えだ。
制服から部屋着に着替えて夕食の準備を手伝ったりお風呂に入ったり、自分ではいつも通りにしていたつもりだったけどお母さんに「楽しそうね。何かいいことでもあった?」と聞かれてしまった。
あたしって分かりやすいのか、と思いながらもなんでもないと言うけど信じてもらえず、果ては弟まで悪ノリしてきたので、仕方なく「秘密」と返しておいた。
「きゃーっ、実花もついにオトナになったのかしら!怪しい〜」とはしゃぐお母さん、「マジかよ〜、姉ちゃんもオンナになったのか?」とニヤニヤしてからかう気満々の弟。この上なくウザイ。
うんざりしながら「桃が何なに食べたいって言ってたよー」と言い残してあたしは逃げるように自分の部屋に行った。その後聞こえた悲鳴はお母さんのものだ。
そして、これじゃあ本当に何かあったって言ってるようなものじゃん、と思ったのはベッドに入ってしばらくしたときだった。


