そう、こいつ…あたしの幼馴染みである天野 桃也(あまの とうや)が好きなのは食べ物。


むしろ『食』とか『おいしいもの』にしか興味がないんじゃないかと思うぐらいだ。


こんな朝の時間からグルメ雑誌読んでる人とか全世界を以てしても桃(あたしは桃也のことを『もも』と呼んでいる)しかいないと思う。



「赤信号、止まれ」


「……ん」



赤信号でも関係なく(というか前見てないからなんだけど)進もうとする桃の袖を掴み足を止めさせる。


そして青になったらすかさず袖を引っ張って歩かせる。


……いつも思うけど、あたしって盲導犬みたいだよね。桃の視力両方2.0だけど。


やれやれと思いながらも歩いていれば、同じ制服を着た人たちがちらほらと見えてきて、女子が色めきだっているのを肌で感じる。


というのも、ハッキリ言って桃はイケメンの部類に入るからだ。


ふわふわと揺れる栗色の無造作ヘアー、スベスベの出来物1つない綺麗な肌、瞳は色素が薄く少しタレ目がちで唇は女子どもが思わずキスしたくなるぐらい…らしい。


まぁ髪型については無造作ヘアーじゃなくてただの寝癖なんだけど、似合っているから別にいいと思う。


背も高く180は軽く越えていて、手足も長いし、これがプロポーションがいいって言うのか、って感じ。


制服も適度に崩して着ているからオシャレ。


というわけで桃は学校で人気がある。……中身は変人だけど。