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帰りの車の中、美貴は相当眠そうだった。
僕もかなり眠かった。
向こうを出たのは20時くらいだった。
そこから地元まで約600キロ…高速を休まずに走ればなんとか深夜には地元に着くくらいの時間だった。
でも、一度気を許して眠ってしまったら、おそらく朝まで目覚めることはないだろう。
美貴は2日もバイトを休んでしまっていたから、明日はさすがに休むというわけにはいかない。
それを僕もわかっていたから、僕はその眠気と闘いながら必死で車を走らせた。
「何考えてるの?」
彼女が言った。
『え?何って?』
「今、何か考えてたでしょ?」
『なんでわかったの?』
「下唇を触ってたもん」
彼女は嬉しそうにクスっと笑い、だって…と続けた。
「喫茶店でも何か考え事してるような時はいつも触ってるよ」
『そう?』
「うん、そう」
気付いていないふりをしたけど、それは確かに僕の癖だった。
そんなことよりも、彼女はいつから僕のことを見ていたのだろうか。

