結局ここまで来たものの、僕と美貴はこれといって何をするということもなく、ここを出ようということになった。
なんだか物足りなさを感じたが、ここにはこれといって遊ぶ場所も何もないのだ。
あえていうなら綺麗な沿岸の景色を見ながら、旅立つフェリーに手を振るくらいだった。
言うまでもなく、僕たちはそんなことをする理由がなかった。
とりあえず、僕たちは来た道を市内まで逆走することになった。
時間はもうとっくに昼を回っていた。
昼食を途中のコンビニで簡単に済ませ、僕たちが市内に戻ってきた時、空は綺麗な夕焼け空に変わり始めていた。
僕は帰りのことも考えて、ガソリンスタンドに寄った。
ここでも地元とは違う何かを期待したが、ガソリンスタンドは何ら変わりはなかった。
給油で待たされてる間、彼女は地図を膝の上に置いてじっと地図とにらめっこをしていた。
清算はここでもやっぱり割り勘だった。
僕がいくら「いいよ」と言っても、彼女は無理やりにでも半分払おうとした。
だから僕は素直に受け取った。
彼女にこれ以上、余計なことで気を遣わせたくなかったのだ。
スタンドを出ると、車はしばらく宛てもなくグルグルと市内を回った。
昨日ここに来てから覚えた道はほんの少しだったから、僕たちは距離の短い環状線を回るかのように同じ景色を窓から見ていた。
車が5周目に入った時、彼女が口を開いた。
「ちょっと停まれる?」
僕はハザードを出してゆっくりと路肩に車を停めた。

