虹色のラブレター


それからすぐに車は目的地に着いた。

駐車場に車を止め、そこから歩いて僕たちは海を目指した。

地元ではちょっとした観光名所ということで、僕はもっといろいろなことを想像していたが、実際に来てみるとそこは僕が想像していたものとは全く違っていた。

駐車場に停まっている車もまばらで、静かで、その状況から見てもここが観光地とはとてもじゃないけど思えなかった。


港口まで来るとそこからは綺麗な沿岸の景色を見ることが出来た。

フェリー乗り場でもあるその場所には大きな観光船が静かに停まっていた。

そこから海を挟んで向かいに見えている島まで運んでくれるのだろう。


「智と海に来るのは二回目だね」


『うん』


「あの時はなんで行ったの?」


美貴は僕の目を見ながら言った。

僕はそんな彼女から目を逸らした。


『う~ん……海が好きだから?』


「そっか……」


『何?』


「ううん、何でもないよ。ちょっと気になっただけ……」


美貴は視線を海の方に向け、潮風でなびいた髪を耳にそっと掛けた。