虹色のラブレター


僕がシャワーを済ませて部屋に戻った時、彼女はベッドでくつろぎながらテレビを見ていた。


「ね?見て?全然チャンネルが違うの……」


彼女はリモコンでテレビのチャンネルを変えながら、真剣な目でテレビと向き合っていた。


『うん、そりゃそうだよ。でも全国ネットは同じじゃない?』


彼女は忙しそうにチャンネルをパチパチ変えていた。


「う……ん。そうみたい」


僕はそんな彼女の隣に座った。


『おなか空かない?』


「空いたね」


『食べに行く?』


「どこに?」


『ここは駅と繋がってるから……』


彼女はテレビをリモコンで消した。

部屋は一瞬で静かになる。


「うん、きっとレストランか何かあると思う」


そう言って美貴は僕の方に体を向けた。

彼女との距離がさっきよりも近くに感じた。

一瞬ドキッとしたのは、今この部屋で二人っきりだということを再認識してしまったからだ。


『やっぱり?でもこういうことは……』


僕は彼女と目を合わせるのを一瞬だけにした。


「はい、お任せ下さい」


彼女はそう言ってベッドから立ち上がった。


「でも……、化粧も何もしてないけど……いい?」


『うん、もちろん』


僕は迷わず答えた。


身長は165㎝くらいあってスタイルもよく、長く伸ばしたその黒髪は彼女にすごく似合っていた。

美貴はそんなことしなくても充分に魅力的だった。


そして僕はテーブルに置いてあった部屋の鍵を美貴に手渡した。

要領がわからない僕は、ここでも彼女に全てを任せた。

少し格好悪い気もしたが、美貴は年上だったし間違ったことをして恥をかくよりもこの方がよっぽどましだと思った。