それから僕たちはその公園の中にある記念博物館に入った。
テンションの高い彼女が、僕を案内するように誘導していった。
年上とは思えないはしゃぎ方をする彼女はすごく楽しそうだった。
それは僕に気を遣っているとかいうわけではなくて、僕との時間を純粋に楽しんでいるように見えた。
そんな彼女の表情を見ていると胸が痛くなったが、僕も美貴といる時間を楽しもうと思った。
せっかくここまで一緒に来たんだし、実際、彼女と居ると楽しいのは僕も同じだった。
友達だとか、恋人だとかそんなこと考えないで、僕はこの旅行を楽しもうと思った。
僕たちが記念博物館から出てきた時、すでに陽は完全に落ちていた。
「ここにこれてよかったぁ、前から入ってみたかったんだ」
美貴は満足そうな笑顔を見せた。
『そうなの?美貴さんも初めてだったんだ、前に来たことあるんだと思ってた』
「うん、初めて。前に来た時はどこにも入らずに一泊して帰っただけだったから」
『そうなんだ……。あ、明日は?バイトじゃないの!?』
「う……ん、そうなんだけど……」
彼女は寂しそうな表情を見せて俯いた。
『じゃ……』
「でも、まだ帰りたくないの……」
『え?』
「喫茶店のおばさんには電話して休みもらうから……」
そう言って顔をあげた彼女の目は真剣だった。

