しばらく貴久との間に沈黙の時間が流れた。

お互いに気まずさを感じていた。

元々、雑誌などを見て黙っていられるタイプではなかった貴久の方から、その沈黙は破られた。


「言い過ぎたかな?……俺」


彼はぎこちなくもその独特の笑顔を見せた。


『いや、本当のことだし。また……話すよ』


「そうか……」


彼は納得のいかないようなそぶりを見せた。

でも、そんな簡単に話が出来るようなことならもうとっくに話をしていた。

ならば、こんな気まずくなるようなこともなかったのだ。


だけど僕は、このことは誰にも話さず胸に秘めていた。

彼にも話さなかった。

というよりも、他の人には話せても彼には話せなかった。


それだけ僕の胸の内は複雑だった。