千鶴は一度ベッドの上に座って、それから布団の中に入った。
そして、広いベッドの右の方に体を寄せた。
僕が布団に手を掛けた時、千鶴と目が合った。
彼女は僕がベッドに入る動作を、ワクワクするような目で見ていた。
「なんだか緊張する~!!智は?」
僕は緊張で言葉も出なかった。
「いつも一緒に寝泊まりしてるのにね。でも、なんか不思議。今日が初めてみたい」
千鶴は緊張をほぐすために、わざと大きな声で話しているように思えた。
僕はベッドに納まり、天井を見上げた。
そこには、ベッドと同じ大きさくらいの鏡が貼り付けられていた。
驚いた。
自分がベッドで横になっている姿を初めて見た。
鏡越しに隣の千鶴が見えてドキッとした。
その時、僕の左手に生温かいものが触れて、もう一度ドキッとした。
でも、それは千鶴の掌だとすぐに気付いて、僕はベッドの中で彼女と手を繋いだ。

