それから僕は、ソファーに座ったままテレビを見ていた。
初めてのラブホテルに緊張しながら、とりあえずどうしたらいいのかわからなかった。
時間はもう午前の1時を回っている。
僕は明日も仕事があるし、千鶴も学校があるはず。
いつもなら、もう部屋をナツメにして、それぞれの布団に納まっている時間だった。
千鶴も同じことを考えていたのだろうか、彼女もベッドの上で体勢を変えることなくテレビを見ていた。
ラブホテルにはベッドが一つしかない。
だからといって、同じベッドで寝ていいものだろうか。
千鶴はどう思っているんだろう。
そんな僕をチラッと見て、千鶴はすぐテレビに視線を戻した。
『あ、あのさ……』
僕が声を掛けると、すぐに千鶴は言った。
「こっちにおいでよ……」
『え?でも』
「ソファーなんかで寝ちゃ駄目だよ」
『いいの?』
「うん、だってここラブホだよ?」
『そうだけど……』
「誘ったのは私だし」
僕はゆっくりとソファーから立ち上がってベッドに近付いた。

