お風呂から出た僕は、千鶴が言ってた通り、バスローブに着替えた。
初めて着るそれは、意外と肌ざわりがよくて悪くはなかった。
部屋に戻ると、千鶴はベッドの上でうつ伏せに寝転んで、両肘をついてテレビを見ていた。
僕に気付いた千鶴は、その体勢のまま振り向いた。
「あ、バスローブ着たんだあ」
千鶴に言われて、自分のバスローブ姿がちょっと恥ずかしくなった。
『え?だって千鶴が……』
「智は絶対着ないと思ってたあ」
千鶴は嬉しそうに言った。
僕はますます恥ずかしくなった。
『へ? や、やっぱり着替えてくる』
「いいじゃん、そのままで。普通、家では着ることないんだし」
『っていうか、myバスローブ持ってる方が変だし!!』
僕はそのままソファーに座った。
「そう?私、myバスローブ持ってるよ」
『へ?まじで?』
すると、千鶴は「うん、まじで」とさらっと言って、テレビに視線を戻した。
僕が彼女の言葉を信じて言葉を無くしていると、すぐに千鶴は笑いながら言った。
「嘘だよ、冗談。っていうかこれってどこで売ってるの?」
やっぱり……僕は千鶴のことを何も知らない。

