それからしばらくテレビを見ていたが、やっぱりどうしても気になって、僕が千鶴のバッグに手を伸ばしかけた時、彼女の声が背中から聞こえた。
「智!!」
名前を呼ばれてドキッとした。
だけど、次の彼女の言葉で、僕の行動がバレていないことがわかってホッとした。
「ジェットバスに泡風呂だよ!!」
少し興奮気味に言う千鶴の方に振り向いた時、僕は違う意味でドキッとした。
彼女は、洗面台の横に置かれてあったバスローブ姿で出てきたのだ。
『な、何それ?』
「だから、湯船の中からジェット噴射が出てくるの!!でね、泡風呂の粉?みたいなのがあったから入れたら泡まみれになっちゃって……」
僕の方を見ながら千鶴は楽しそうに話していたが、途中で何か違うと察したのか話すのをやめて首を傾げた。
『あ、いや……そうじゃなくて、その服だよ』
僕は千鶴の方を指差していった。
「え?これ?変?」
『いや、変とかじゃないけど……』
「じゃ、いいじゃん。智も早くお風呂入ってきなよ。ビックリだよ!!」
千鶴はすぐに自分のペースを取り戻して僕に言った。

