僕はそのまま繋いだ手に力を込めて、彼女の小さな体を抱き寄せた。
千鶴はまだ微かに震えていた。
彼女の熱を持った吐息を感じた。
僕の顎の下にある、彼女の頭をそっと撫でた。
彼女の頭は僕の掌に納まるほど小さかった。
「守ってあげたい」と思った。
人のことがこんなに愛しくて、こんなにも大切にしたいと思ったことはなかった。
「愛」なんて言葉、口に出すのも恥ずかしくて、その意味すらわかってなかったけど……
今まさに、僕は自然とその言葉を声にしようとしていた。
『千鶴……』
「うん?」
『お、俺……千鶴のこと……』
すると、千鶴は僕の胸に顔を押し付けたまま何度も首を横に振った。
「言わないで……」
『え?』
「な、何も……言わないで」
彼女の声は震えていた。
『千鶴……』
「ごめんね……」
彼女はどんな気持ちで……そう言ったのだろう……。

