『電気消すよ?』 僕が立ち上がって、紐を引っ張ろうとした時、千鶴が言った。 「真っ暗にしないでね」 『真っ暗?』 「うん。オレンジのやつあるじゃん」 『ナツメのこと?』 「ナツメっていうの?」 『そう』 僕はナツメ球を残して、また横になった。 千鶴がいる隣の和室とは襖で仕切られてるのだけれど、千鶴はそれを閉めようとはしなかった。 『閉めなくていいの?』 僕は聞いた。 「うん。いいの」 『でも……』 「ねえ……」 『何?』