最低なあなたに



「すみません…」


本当に小さな声でそう言い、加山は廊下を走っていった。


絶対に教室に入ろうとしてたよな。


悪いことした。


その時はそれくらいにしか思っていなかった。


が、何日たっても消えない加山の悲しそうな顔。


あまりに消えなさすぎて勉強に集中できなかった。


そして、いつも加山を目で追うようになった。


あの悲しそうな顔がもう一度見たい。


が、いつみても加山は眠そうな顔だった気がする。


今思えばかなり変態だったかもしれない。


あの時は何も思っていなかったが。