四人の幼馴染み

『あの時はさ、』







私たちがであったきっかけは、
私と雫の喧嘩だった。







『やめてよ、雫ちゃん。』





『有紗ちゃんこそ離してよ!』






同じおもちゃを巡った争い。
昔から強く言えない私は、雫に勝てるはずもなく。





『雫ちゃん、やめてよー…。先に取ったの私だもん…!』




『貸してって言ったじゃん!有紗ちゃんのケチ!』






私が泣き出しそうになっていたとき。







『おい!有紗いじめないでよ!』






『…あ、葵。』






『…大丈夫?有紗。』






『…うん。』






『ちょっと!二対一とか卑怯じゃん!』






『あの、でも、雫ちゃん、』






『有紗のおもちゃ取ったくせにごちゃごちゃ言わないでよ!』





『葵、もういいよ…?』






『雫をいじめんな!』






『…陽葵?』






なんか雫ちゃんの方も男の子来ちゃった。
どうしよう。
先生に怒られちゃうよ。






『おい!そこの!』






『…私、ですか?』






『そうだよ!雫にもおもちゃ貸してやれよ!』






『だ、だけど私もまだ遊んでないし…』






『…あのなぁ!さっきから聞いてりゃ有紗のこと責めすぎなんだよ!』






『あぁ?』






『確かに、譲らない有紗はいけないかもしれない。昔から有紗は頑固だから。だけど、雫ちゃんにも悪いところはあるでしょ!』







葵は、この時私より小柄で、
ホントは私の何倍も怖かった筈なのに、
涙目になりながら怒ってくれた。






『葵、もういいよ?雫ちゃん、これ譲るよ。』






『…え?』






『おもちゃで遊びたいよ。…だけど葵が泣くのはもっとやなの。だから、はい。』







私は雫におもちゃを渡して、葵の手を引っ張って、雫たちから離れた。