四人の幼馴染み

『そのあと数年たったんだけど、』







なかなか連絡も取れなくて、ほんとに帰ってくるのか、とお母さんのお父さん、すなわち如月側のおじいちゃんは、しびれを切らしてた。






『綾子!お前はもうお見合いだ!』






『私お見合いだけは絶対にいや!』





『ええい!ワガママ言うな!』






ばんっ。






そのドアの先には、お父さんが立ってた。






『初めまして。田辺凌二です。』






『お前が田辺凌二か。残念だがお前に綾子はやれん。』





『…私は、綾子さんを幸せにできる自信は少し自信がないです。しかし!綾子さんといて、私が幸せになる自信はあります。』





『…自信がないやつには、』





『…僕が初めて綾子さんに会ったとき、周りの人と距離を置いているように見えました。置かれてるんではなくて置いていたんです。』





『…ほう。』





『…でも、僕にだけは積極的に話しかけてくれていた。一生懸命。そんな姿に、惚れました。』





『…そんな話、』





『…綾子さんの無邪気に笑う姿を、これからも隣で見ていたい、と思いました。』










『…お父さんってそんなロマンチックなこと言うんだ。』




『私だってびっくりだったわ。だけど、その言葉を聞いて、私はお父さんに決めたのよ。私のことをきちんと、一番に見ていてくれた。』






お母さんは幸せそうに笑っていた。





『おいこら。何喋ってんだよ。』




『あら、凌二さん。おかえりなさい。』





『…有紗も余計なこと聞くなよ。』





『お父さん、お母さんを幸せにしてくれてありがとう。』




『…そういえば、そんなこと聞くなんて、有紗恋でもしてるの?』



『な、有紗が恋なんて!早いぞ!』





『あらあら、もう高校生よ?』





私のことを、きちんと見てくれてる人は誰だろう。
私が一番見ている人は?