四人の幼馴染み

『待って、凌二さん!』






『その、さん付けで呼ぶのやめてくれないかな。』





『え、あ、でも…、じゃあ、田辺さん?』





『だーかーら、さん付けが嫌だっつってんの!』






『…じゃあどうすれば…』






『…普通に凌二でいんじゃね。』






お母さんとお父さんは、高校時代の同級生らしい。
お母さんは、お金持ちの令嬢で、
周りの人達との距離感がわからなくて、みんなにさん付けしてたらしい。


そして、そんな中で一目惚れしたのが、お父さんである、田辺凌二。






『…お前名前は?』






『…如月、綾子です。』






『…如月。なんでこの学校受けたんだ?』





『…少しは家から離れたくて。』







『…お前んち確か財閥、』






『はい。…だけど、そのせいで周りの子には距離置かれたり、あんまりいいことないんです。』








『…その敬語、やめれば?』






『へ?』






『変に敬語だから、相手も気遣うんじゃね?』





『…凌二さ、じゃなくて、凌二くん!ありがとう!』







この時に恋に落ちたのは、お母さんではなく、お父さん。
無邪気に笑うお母さんに恋したらしい。





だけど、二人とも友達以上恋人未満な感じの関係で、卒業が近づいてきたらしい。





『…凌二くんは、卒業したらどうするの?』




『俺は、親父の仕事継ごうと思ってる。』





『…そっか。じゃあ北海道に行っちゃうんだね。』






『…まぁな。』







離れ離れになるし、気持ちも伝えられない。
お母さんは諦めようと思ったらしい。






『…あのさ、如月。じゃなくて、綾子。そのさ、俺修行したら、こっちに戻ってくるから、待っててくれるか?』





『…待ってて、いいの?』





『…当たり前だろ。』












『お母さんね、凌二さんに面と向かって好きって言われたことないの。』






『…お父さん、シャイだもんね。』






『…生まれてから一度もよ?ほんと、凌二さんらしいわ。あ、なんで凌二さんに決めたか、だったわね。』








お母さんは急に真面目な顔になった。