『おい、有紗?!』






私最低だよ。
葵の前で平常通りしてようと思ったのに。


もうどうしよう。








気づけば、陽葵に電話をかけてた。






『もしもし?有紗どうし、』





『ひ、陽葵?どうしよう、家に葵がいて…、ひどいこと言っちゃった…。』





『ちょっと落ち着け。今から有紗んち行くから。』







それから1分もしないうちに陽葵が家に来て、部屋に入ってきた。






『…どうしよう、陽葵。私、』






『葵はリビングにいたけど、有紗のこと気にしてそうだったぞ?』





『…私ね、葵に普通に接する自信ないよ。』





『…有紗。』







ばんっ







『…葵?』







『…最近、有紗と陽葵、仲いいな。陽葵ほんとは有紗のこと好きだったりするんじゃねーの?』




『葵!やめてよ。陽葵は、』






『…陽葵はなに?有紗は、陽葵の味方なの?』





『……じゃん。』






『え?』







『葵が悪いんじゃん!私は!好きな人とその彼女のこと平然と見てられるほど強くないよ!!仲良しなのはいいことだよ?だけど…、私の近くに来ないで欲しい。』









思ってることと思ってないことが入り交じって。
もうどうすることもできなかった。








『…んだよそれ。葵が幸せならいいって言ったのは有紗だろ?』






『…本心なわけ無いじゃん!葵は、昔から私の言ったこと全部を、信じすぎなんだよ。』









私の目からは、ぼろぼろと涙が溢れて。
陽葵はそれを伺ってた。







『…とりあえず落ち着け。』






『落ち着けるかよ!陽葵、お前は雫が好きなんじゃねーのかよ!』






『……今の葵に、言う必要はないと思ってる。とりあえず今日帰れ。』






『は、なんで、』






『有紗が傷ついてんのがお前にはわかんねえのかよ!!何年付き合ってると思ってんだよ?笑わせんな!!こんなこともわかんねえでなにが幼馴染みだよ。ふざけんな。』









陽葵はそう言って、葵を部屋から出すと部屋のドアを閉めて、鍵をかけた。